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固型式救命いかだであれば、硬質のロッド等浮力の少ない材料を用いて、両面共に展張させることが可能であり、この場合、水面側の天幕にすばやく水が入るようにしておけば、安定水ノウとして機能すると考えられる。(lGL00の例)
膨張式の支柱気室を使用する場合、支柱自体の容積(浮力)はできるだけ少ない方が水面で安定すると考えられ、天幕支柱を垂直な棒状としたものを仮に垂直支柱型と称する。
この場合、重要と考えられるのは、天幕の出入口の位置を考慮して、いかだ主気室の左右側壁に平行に支柱気室を取り付けることで、水面での安定性が向上し、又、下側天幕内に水が入りやすくなると共に、曳航時の水中抵抗を最小限に抑えることができると考えられる。
問題点は、この構造で、水面側天幕内に安定した水量が入るか、水面上で安定して浮遊するかどうか、さらに天幕の強度(風速試験、飛び降り試験、射水試験)及び安定水のうとしての機能及び強度(軽荷安定性、曳航試験)が保てるかどうかである。
(2)天幕構造を持たない場合
従来の救命いかだのイメージから離れて両面使用型を考えると、例えば、上下対象型で、上下面に床面(天幕と兼用)を持ち、その間の空間を利用するもの(どら焼き型)、また、主気室で三角柱を形成し、各側面を床面(天幕と兼用)とするもの(かご型)等が考えられる。

 

7.3 基本構造及びタイプの選定

3項の要件の内、基本構造に影響すると思われる性能要件、製作時の加工性、予想される質量及び格納時サイズ等を評価項目として、4.1及び4.2において検討した各基本構造に対する評価を表8に示す。
基本構造及びタイプの選定にあたり、将来の実用品になり得る基本構造としては、加工性の良さや、できるだけ軽量であることが重要であり、その観点から検討すると、タイプとしては、付加構造物が比較的少ないと思われる自己復正型が望ましいと考えられる。
天幕付両面使用型の各基本構造については、どら焼き型及びかご型は加工の難易度が高いこと及び質量の増加の問題があること、また、垂直支柱型は、安定水のうの機能に問題があることが予想される等のメリット、デメリットについて比較検討した結果、今後研究すべき構造として、自己復正型(従来型の改良)を選定することとした。
なお、特許調査の結果、従来型の改良(枕つき)については公開されているので抵触しないことが判明した。

 

 

 

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